あれはたしか日曜日の決勝戦
僕は迷わず甲子園にいた。
初の九州勢同士の決勝戦
強豪高が大会序盤で早々に
姿を消す中、唯一順調に勝ち上がった樟南と
無名の公立高校
佐賀商業
戦前の予想は強力バッテリー擁する
樟南が大きくリード
でもスポーツって野球に限らず筋書き
なんて無いんだ
試合序盤流れは完全に樟南
しかしシーソーゲームで2度追いついた佐賀商
4対4 手に汗握るもつれた試合は9回の攻防へ
9回の佐賀商業の攻撃はワンアウト1塁三塁のチャンス
スクイズで勝ち越しを試みたが見破られ大きく外され空振り!
キャッチャーは素早く3塁に送球するも
なんとこれがランナーにあたりセーフに
アウトになっていれば大きく展開は変わっていたはず
野球の神様はなぜにこうして試練を与えるのだろうか
いろんなプレーが折り重なり満塁のシーンがつくりあげられたと
思ってしまうような場面
このあと2アウト満塁となりバッターはチームを引っ張て来た
キャプテン西原くんだ
そして初球のストレートを振りぬいたボールは大観衆で埋め尽くされた
レフトスタンドへ
キャプテンはのちに集中していて周りの音も何も聞こえず
ピッチャーが投げた瞬間からスローモーションのようにすべてが
ゆっくりに見えたと
普通は初球から積極的に打つような自ではなかったと語るキャプテン
バットが投げたボールに反応して自然に振り切った
そんな感覚
満塁ホームラ~~ン!
チケットを求め阪神甲子園駅について球場に着いた僕は
「アカンいっぱいで入れんわ!」と逆流してくる人の群れに逆らい
とりあえず外野席へ
かろうじてというか潜り込むようなかんじで
なんとか入場でき
それでも今では考えられないけど外野のスタンドは観客席はおろか
通路までぎゅうぎゅう詰めの状態
消防法やなんやかんや考えてもいまなら完全にアウトだ
レフト側の通路の階段を上がり始めてすぐのところで上が詰まってしまい
身動きも取れない立ったままの状態で試合が始まりました
当時の映像などを見ても絶対5万人は超えてるやろうなあという状況
話は戻りますが
キャプテンの打球は打った瞬間
吸い込まれるようにレフトスタンドへ
膝から崩れ落ちるエース福岡くん
レフトもボールを追いながらも現実を受け入れ
天を仰ぎ体から力が抜けるように膝をつく
朝日放送のアナウンサーはまだ経験が浅い中邨雄二さん
(定年後の今も現役名物アナウンサー)
この日もゲスト解説者として箕島高校の尾藤監督を迎えて
緊張の実況中継だったそう
このホームランの時
打った瞬間「入ったー」と言ってしまい
もし入っていなかったら
えらい事になっていたとのちに語る
またNHKのアナウンサーは満塁ホームラ~~ンと叫んだ後
30秒間なにも語らず
これもまた名実況として語り継がれている
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